2015年シーズンのF1は、1カ月の夏休みが終わり、ベルギーのスパ・フランコルシャンサーキットにて後半戦がスタートした。
レースはメルセデスの2台が圧巻のワンツーフィニッシュを決め、3位にはロータスのグロージャンが入り、約2年ぶりの表彰台となった。レース終盤まで表彰台圏内を争っていたフェラーリのベッテルは、2周を残したところでタイヤがバースト、大きく後退した。
メルセデスはスタートに不安あり?
予選・レース共に圧倒的な速さを誇るメルセデスに対抗するには、スタートが大きな鍵を握る。前回ハンガリーGPではフェラーリの2台がスタートで前に出て、その後レースに勝った。
今回はポールポジションのハミルトンは抜かれることはなかったが、2位にはなんと、4位スタートだったフォースインディアのペレスが躍り出た。ケメル・ストレートエンドでももう少しでハミルトンを抜くかという勢いがあった。
メルセデスに弱みがあるとしたら、それはスタートだろう。
レースと直前にタイヤの温度などを指示することが禁止されたF1だが、それによりドライバーは個人でスタート時に最適なタイヤ温度、ブレーキ温度などを探り当てなければならなくなった。
特に、今レースではフォースインディアのヒュルケンベルグがスタートに参加できず、フォーメーションラップが2度行われた。よって温度管理は余計に難しいものになっていた。
レースのクライマックスは最後の数周

引用元:http://www.telegraph.co.uk/sport/motorsport/formulaone/11819662/Belgian-Grand-Prix-2015-Ferraris-Sebastian-Vettel-hits-out-at-Pirelli-as-tyre-blowout-ruins-F1-title-hopes.html
レース中盤は目立った動きが少なかったが、レース終盤には戦略の違いから、多くのバトル、トラブルがあった。
きっかけとなったのは3位を走っていた、セバスチャン・ベッテルのタイヤバースト。
オールージュを駆け上った直後、すり減っていたタイヤが一気に破裂。ワンストップ作戦で乗り切ろうとしていたベッテルだが、タイヤが耐えきれなかった。
3位を争っていたグロージャンはそのまま前に出て、後続のマシンもどんどんベッテルを抜いていく。
4位にはラスト数周でウィリアムズのマッサをオーバーテイクした、レッドブルのクビアトが入る。さらにペレスもマッサを抜き5位に。後ろからはさらにライコネン、フェルスタッペンも迫っていたが、そこはなんとかしのいだ。
5位から8位まではほぼ数珠つなぎの状態でのゴールとなった。
マクラーレン・ホンダの2台は、競争力を見せられず、後方に沈んだ。
グロージャンは喜び、ベッテルは怒り
約2年ぶりの表彰台を獲得したグロージャンは、喜びを隠そうとはしなかった。
「今日は表彰台を目指して努力し続けた。最終ラップでは感極まってしまったよ。本当に嬉しい」
「ファイナルラップで泣いてしまった。僕にとってベストレースのひとつと言っていいと思う」
3年前のベルギーGPではスタートで大事故を引き起こし、危険・未熟なドライバーというレッテルを貼られたグロージャン。そこから大きく成長した姿を、見せてくれた。
一方、タイヤバーストにより表彰台に登れなかったベッテルは、
「もっと前の時点で同じことが起こっていたら、僕は今ここにこうして立っていない。オールージュのえじきにされ、病院送りだ」
とかなり頭にきていたようだ。
フリー走行でも同様のバーストがロズベルグ車に見られており、過去にタイヤバーストを多発してしまったピレリとしては、迅速な対応を求められることとなるだろう。
次はモンツァでのイタリアGP。2週間後の9月4日(金)から、フリー走行が始まる。その頃にはタイヤ問題も解決しているだろうか。